AIエージェントを一人入れる。便利だ。調査を任せられる。もう一人入れる。実装も並列になる。さらにレビュー役、運用役、投稿役。気づくと人間が「Aの結果をBへ渡して、Cには触らせないで」と交通整理している。
人数は増えたのに、社長が伝令兵になった。
問題は知能ではなく配線
複数AIが苦しくなるのは、モデルの性能が足りないからとは限らない。誰が何を正本として読むか、どこへ書くか、終わったら誰へ渡すかが曖昧だと、各AIはそれぞれ合理的に別の答えを作る。
人間の会社でも同じだ。優秀な社員を5人採用して、共有フォルダも役割表も承認ルールもなければ、会議が増える。AIだけ魔法で回る理由はない。
増やす前に決める4つ
- 正本 — 最新の事実はどこにあるか。
- 権限 — 読める、書ける、公開できる範囲はどこか。
- 受け渡し — 終了条件と次の担当は誰か。
- 証拠 — 「やった」と言う代わりに何をreadbackするか。
これが決まると、エージェントの名前や人格設定はかなり後ろへ下がる。
コネクタは社員ではない
Gmailへつなぐもの、GitHubへつなぐもの、SNSへつなぐもの。それらを全部「AI社員」と呼び始めると設計が濁る。コネクタは手足や神経で、判断する役とは分けたほうが扱いやすい。
この分離は、将来AI同士が外部サービスや別会社のAIへ接続するときにも効いてくる。必要なのは「もっと賢い一体型AI」ではなく、必要な能力を安全につなぐ交通網かもしれない。
AIエージェントを5個入れて仕事が増えたら、6個目の管理AIを入れる前に配線図を見る。たいてい、そこに増えた仕事が描いてある。