WORKFeature2026-09-22

Excel、まだ2026年も会社を支配している

AIもSaaSも増えたのに、最後に数字が集まる場所はなぜExcelなのか。表計算が強すぎる理由と、離れるべき境界を考える。

Excelは古い。そう言われてから、かなり長い。なのに月末になると売上表が飛び交い、名簿は .xlsx で届き、システムから吐いたCSVは最後にExcelで開かれる。

これは「会社が遅れている」だけでは説明できない。Excelがしぶといのは、データベース、計算機、メモ帳、簡易フォーム、帳票、グラフ、そして人間同士の受け渡し箱を、ひとつの画面で雑に兼業できるからだ。

Excelは完成品ではなく、作業台だ

専用SaaSは正しい入力欄と正しい順番を要求する。Excelは違う。列を増やしてもいい。色を付けてもいい。途中の計算式を横に置いてもいい。「今日だけこの顧客を別枠にしたい」という例外にも、10秒で対応する。

業務は例外だらけだ。だから、整っていない現場ほど自由度の高い表計算が強い。問題は、その自由さがそのまま会社の記憶装置になった瞬間に始まる。

危険になる境界は「行数」ではない

1万行あるから危険、100行だから安全、ではない。見るべきは人数と状態変化だ。

このあたりが増えると、表計算の自由さは便利さではなく調整コストになる。メール添付で 顧客一覧_最新版_修正2.xlsx が生まれたら、だいたい黄色信号だ。

それでもExcelを消さなくていい

全部をCRMや業務システムへ移せば解決、でもない。現場では「考える途中」のデータがある。仮説を並べ、数字を試し、列を足して意味を探す作業は表計算が速い。

だから分ける。確定した状態はシステムへ、考える途中は表計算へ。 顧客・商談のように履歴を共有するものはCRMへ寄せ、集計や一時分析ではExcelを使う。CRMの考え方を知りたいなら、HubSpotを含むCRMの見方も参考になる。

Excelが2026年も残っているのは、古いからではない。雑な現実に強いからだ。

ただし、雑な現実をそのまま永久保存する場所にした瞬間、Excelは道具から地層になる。会社はときどき、その地層を掘っている。